威鶴の瞳
奥からレインが姿を現し、トーマを見て、それから私に視線を移し、またトーマに戻って眉根を寄せる。
「アンタ、彼女でもいたの?」
……。
唐突な質問に何を言ってるんだと思ったけれど、隣にいるのは私だけ。
……あ、私か。
……え!?
え、ちょっ、かの……!?
「ちょ、ち、ちが、おいおいねーちゃん何言ってんだよ!?」
「ふ、珍しく取り乱したわねトーマ。……ん、でも……本当に可愛いけど、なんだか威鶴そっくりね。まぁアイツも可愛い顔してるし」
じー、そんな目で見てくるレインに、体が強張る。
そんなに見ないでほしい。
見透かされそう……。
「ねーちゃん忘れてんのかよ?」
「だからそのネーチャンて言うのやめなさいっていつも言ってるでしょう?」
「……。紫崎依鶴さんだよ」
「あんた無視って……紫崎依鶴?占い師の?渡辺春の時の?」