威鶴の瞳


高い声で拒絶する、女の声で。



もちろん女だとわかればいい。

トーマもそれ以上は何もしない。



その場の雰囲気が変わった。



「ユーキ……声が出ないんじゃ……」



そうか、声が出ないと言って通してたのか。



「ちが、あ、その、まって……」



女が言いわけを口にするが、うまくごまかせない。



それもそうだろう。

ごまかしていた声を、出してしまったんだから。



「さぁて、アレの使い道もわかったな。ソイツ、このこと知ってたんだろ?……いや、もう、お二人さんデキてるんだろ?」



陽も八坂も、二人に注目する。

面白いことになってきたな。



仲間割れの始まりだ。

< 21 / 500 >

この作品をシェア

pagetop