威鶴の瞳
高い声で拒絶する、女の声で。
もちろん女だとわかればいい。
トーマもそれ以上は何もしない。
その場の雰囲気が変わった。
「ユーキ……声が出ないんじゃ……」
そうか、声が出ないと言って通してたのか。
「ちが、あ、その、まって……」
女が言いわけを口にするが、うまくごまかせない。
それもそうだろう。
ごまかしていた声を、出してしまったんだから。
「さぁて、アレの使い道もわかったな。ソイツ、このこと知ってたんだろ?……いや、もう、お二人さんデキてるんだろ?」
陽も八坂も、二人に注目する。
面白いことになってきたな。
仲間割れの始まりだ。