威鶴の瞳
あ、よかった。
うまく気を反らしてくれた。
「初めまして。占い師の柴崎依鶴です」
「私はレインよ。BOMBへようこそ。……トーマ、威鶴は付いて来なかったの?」
「あ、今回はトーマさんの変わりに依頼人を引き受けたので、威鶴はこの件は一切関係していません」
トーマの説明次第で契約違反になるから、この説明は譲れなかった。
威鶴の家族となっている私が、本当はトーマと知り合ってちゃいけない。
威鶴経由となるとプライベート問題に引っかかるから面倒だ。
あくまで占い師として、偶然、偶然。
「でもここの紹介カード自体は威鶴に以前もらっていたので、これでよろしくお願いします」
そう言ってレインにカードを渡す。
「わかりました。先に部屋に案内していただいてください。すぐに向かいます」
いつものように、案内人の男が部屋を案内してくれた。
その場所にトーマと座り、依頼の話はトーマに任せることにした。
とりあえず私の役割は一時完了。