威鶴の瞳


きゅっ

優しく握られて。

そっと、その手を引かれた。



先へ歩みを進めるトーマに、手を引かれるままに、ついて行く私。



……え、え、え?

動揺。



このまま、行くの?

このまま、歩っちゃうの?



トーマが何を考えているのか、わからない。

ただわかる事は、私の家に向かっている、ということ。



手、離さないの……?

は、離したい、わけじゃないけど。



人に見られちゃうかもしれない。

恥ずかしい。



ちゃんとお互いに繋げているわけじゃないけれど、引っ張られているような形だけれど、恥ずかしい。



「依鶴さん」

「は、はい……?」

「俺は、依鶴さんの事、もっと知りたい」






モット、知リタイ……?

< 216 / 500 >

この作品をシェア

pagetop