威鶴の瞳
きゅっ
優しく握られて。
そっと、その手を引かれた。
先へ歩みを進めるトーマに、手を引かれるままに、ついて行く私。
……え、え、え?
動揺。
このまま、行くの?
このまま、歩っちゃうの?
トーマが何を考えているのか、わからない。
ただわかる事は、私の家に向かっている、ということ。
手、離さないの……?
は、離したい、わけじゃないけど。
人に見られちゃうかもしれない。
恥ずかしい。
ちゃんとお互いに繋げているわけじゃないけれど、引っ張られているような形だけれど、恥ずかしい。
「依鶴さん」
「は、はい……?」
「俺は、依鶴さんの事、もっと知りたい」
モット、知リタイ……?