威鶴の瞳
トーマ、いきなりどうしたの?
え、何、知りたいって、何をデスカ?
もう混乱が混乱を呼んで大混乱状態。
こんなことは、本当に初めてで、免疫がなくて、どうしていいのかわからなくて。
こんなにも私の中に踏み込んで来る人は、本当に……初めて、で……。
「もっと、って……言われましても」
「もっと深く知りたい。ダメか?秘密主義?」
「え、いや、えっと……透眞さんだって、秘密主義じゃ、ないですか……」
言ってからハッと気付く。
誰にも……威鶴にも話そうとしない、トーマの過去の事。
いや、話さないのは別に、BOMBの決まりうんちゃらでおかしい話じゃない。
でも、その過去を見せようとしない。
どうでもいいと思っている過去ならば、浅い過去くらいなら許可してくれるはず。
それでも、未来しか見せてくれない。
それはつまり、トーマにとっては大きな問題だったということで……。
「ご、ごめんなさい、違うの、今の取り消す……」
それはトーマの、地雷だろうから。