威鶴の瞳


悔しそうに涙を流す。

見つめる目はそらさずに。



いや、そらそうとしてもそらせないからこそ、耐えられなかったんだろう。



「助けてほしかった、でも八坂を裏切ることになるかもしれなくて話せなかった」

「本当にやめて」

「TOPは憧れだった。TOPの位置に立つことが、そして」

「言わないで!!」

「八坂自体が、離れたくない理由になった」



気付いているだろうか?

彼女の心を代弁していることが。



彼女が守りたかった土台が、崩れる音が。



「……知られたく、なかった」



全員が彼女に注目する。



その隙に、任務を続けるべく、金庫に向かった。



パスワードは6295。

カチャリ、静かに音が鳴り、開く扉。

中にあるものを取り出し、素早く閉める。



そしてもとの位置に戻る。



その間10秒、任務達成。

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