威鶴の瞳
もうすぐ12時、お昼休みの時間。
トーマは最近この時間を見計らって、お昼を持ってきてくれる。
しかも、自分の分まで。
「食おうぜ」
「うん」
いつも食事するために行く部屋へ行こうとすると――少し遠くから電子音が聞こえた。
ぴたり、足を止める私。
「どうした?」
「……カメラ。今カメラの音がした」
「……どの辺だ?」
振り向けば、誰もいない。
でも確かに、微かに聞こえた。
周りのざわつきのせいで、細かいところまではわからない。
近くの足音なんて何百人と聞こえる。
でも、ショッピングモール内でカメラの電子音は……普通はあり得ない。