威鶴の瞳


どうやら遅刻魔が予定通りの時間に来たという事態に驚きを隠せないらしい。



「雷知はもう少しで来るから、部屋で待っていてちょうだい」

「……あ!!ねーちゃんまた予定より早めに呼び出しただろ!?」

「レイン様とお呼びって何度言えばわかるの?」



どちらも一歩も引かないまま、部屋に案内され、再び二人きりの空間。



「もう変な遊び禁止ね」

「……ちっ」



舌打ちをされた。

そんなに面白かったのだろうか?

こっちとしては背筋がゾワゾワしてしょうがなかったけれど。



あと顔が近くて、少し困った。

あんなに近いと……緊張する。



動く気配と共に、私の手の上にトーマの手が重なった。

……少し恥ずかしいけれど、嬉しい。



今日のトーマは、なんだかスキンシップが多い。
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