威鶴の瞳
「依鶴」
「なに?」
「……依頼の結果聞いて、俺がもし暴れたりしたら、全力で止めてくれ」
妹が危険な目に合っていると言われたとしたら、トーマは自分を抑えられないと、そう思っての言葉だと、悟った。
そんな事を言うトーマに、やっぱり妹思いなんだななんて思った。
でもね、トーマ。
「私は急所なんてわからないですよ」
そう言って少し困った顔をして笑った。
だって私は威鶴じゃない。
急所を全部覚えている上に素早く正確に一突き、なんてことは出来ない。
「男の急所でいい」
「……。……真横に座っているので、位置的に難しいかと……」
「なら抱きついて来い」
……え?