威鶴の瞳


……しかし、ふと冷静になって考えてみた。



トーマは、以前とは違う。

怒りも威鶴のおかげである程度抑えられるようになった……はず。

だから簡単にはキレないし……抱き付けなんて冗談混じりに言ってるくらいなんだから、きっと大丈夫なんだと思う。

いざとなればBOMBのメンバーに誰かしら格闘系の人も居そうだし、きっとどうにかなる。



そう思い、私はとりあえずこう答えた。



「最終手段で一瞬だけ威鶴と代わる方向にします」

「……ちっ」

「でも、トーマならきっと大丈夫」

「……」

「大丈夫」



そう言った直後に、ノック音と共に扉が開き、雷知とレインが姿を現した。



そこで違和感。

そう、以前と同じ違和感があった。



「マサルはいないのか?」



そうトーマが聞いたことで、違和感の正体が雷知が一人で来たことだと気付いた。
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