威鶴の瞳
サクサクとそう説明していった雷知に、トーマは目を向ける。
その瞳に、怒りや悲しみは見られない。
それどころか……。
「バカだなぁ、アイツ……何で話さなかったんだよ」
そう言って、微笑んだ。
「雷知がそう言うなら、きっとアイツは大丈夫なんだろう」
『兄』の顔をした。
差し出された依頼書に、サインを書いたトーマは、それをレインに差し出した。
心配していたような事もなく、殴り込みをすることもなく終わりそうだと、そう思った時だった。
「柴崎依鶴さん、今日はあなたにも話したい事があります」
予定もなかった私が、レイン呼ばれた。
「……な、にか……?」