威鶴の瞳
さよなら……
それは、疑問じゃなかった。
確信からの、確認。
レインの瞳が、ギラリ、捕らえる。
私の中の、威鶴を、捕らえて……逃がさない。
「……えっと」
驚き過ぎて、思考が止まった。
いつ、レインは感づいたんだろう?
レインの洞察力は、私も知っていた。
だからこそ威鶴を勧誘したんだろうし、威鶴は逃げ場を作っていた。
そう、最初から威鶴は、バレる事を予想していたから。
だから私も『あぁ、ついにか』くらいにしか思っていない。
でも、トーマは違った。
ギロリ、睨んでレインをその瞳に捕らえる。
それは、静かな怒り。