威鶴の瞳
占い師柴崎依鶴の格好をした、威鶴。
端から見れば、おかしいだろう。
「……威鶴、か?え?どういう事?」
ようやく雷知が声を出した。
次々と展開していく驚くべき真実に、雷知はついて来れないらしい。
しかし、レインにはやっぱり見透かされていたらしい。
「……もしかして、多重人格?」
「……当たり」
「威鶴!」
トーマが俺を振り返り、両肩を掴む。
その力は強く、痛い。
それでも構わず、トーマの後ろにいるレインに視線を向ける。
「俺の中には三人の人格がいる」
「三人?」
「そのうち、俺を含めた二人はいつ消滅してもおかしくはない。だから俺はここで逃げ場を作っていた。だからずっとバイトだった」
そう、いつ消滅しても、バイト程度なら必要以上に頼られない。
占い師は以前から続けていたから、その環境も変わらない。