威鶴の瞳
「その女の事なんですけど、仲間が一人を除いて全員男だと信じて疑っていなかったんです。その除いた一人が女を脅して関係を持ってた。仲間割れには十分な要素でしたね」
「威鶴、バラしちゃったの?悪い顔しちゃって」
本当だ。
いつの間にか口角が上がっている。
でも、あの時の事を思い出すと、笑える。
「全員女に注目してる間に、盗んで来ちゃいました」
「相手方が可哀想になるわね。その間ずっとトーマは黙って拘束していたの?」
「女のくせに意外と力強かったからな。ありゃ本当に女か」
「声が完全に女だったな。まぁ……」
コンコン、ノック音がして、一度話を切る。
「お連れしました」
「入って」
そして開かれた扉の向こうに、女が現われる。
「そうだな、お前の妹と変わりないだろう?トーマ」
目の前に現れた女……もとい依頼人の竹原叶香。
トーマの妹が到着した。