威鶴の瞳


「本当ですか?」

「私だって出来るだけ優秀な人材を無くしたくはないのよ。それにほら、威鶴はそんな可愛く笑わないしね」



思わず口元を手の甲でサッと隠した。

……恥ずかしい、思わず笑ってしまっていたなんて。



「今までの話も帳消し。威鶴とトーマは今まで通りでいいわ。でも一つだけ条件がある」

「……条件?」



今度はレインが条件を出して来た。

それに逆らうつもりはもうない。



「トーマ、あと威鶴。あんたら新人教育しなさい」

「は……?」

「威鶴がここに来た時は、今はいないけど先輩をパートナーにしたわ。入れ違いでトーマの時には威鶴が。今度はあんたたち二人で手取り足取り教えてほしいのよ」



まさか新人教育させられるなんて、誰が思っていたことでしょうか?



「まぁ難しいわけじゃないから。ただ厄介な奴を拾っちゃったから、二人にとことん教育してほしくてね。それは後で紹介するわ」



もはや強制だった。
< 291 / 500 >

この作品をシェア

pagetop