威鶴の瞳
威鶴に関わった人たちは、威鶴をどれほど頼っているのか……それは私にはわからない。
でもそれとは逆に、私たちも頼りたいと思っているのが本心。
頼ることに慣れていない、人と関わり合うことについては不器用で、それは私も威鶴も一緒で。
それでも私は、このあたたかい人たちを『依鶴』にも知ってほしいと思う。
それには、ここの人たちにも私を知ってもらう必要がある。
もう、怖いだけじゃない。
逃げてるだけの私じゃないから。
「1つに戻りかけている、だから私たちはいつか消える……その時『柴崎依鶴』はとても混乱します。なので今はトーマに協力してもらって、もとの人格が現れた時には、色々と現状の説明をしてもらってます」
トーマに目を向ければ、優しく笑って、頷いてくれた。
とてもありがたい。
「図々しいかもしれませんが、調べた時に知っているかもしれませんが、彼女は人のあたたかさを知らないので……出て来た時には協力してほしいです。お願いします」
私は深く、頭を下げた。