威鶴の瞳
月明かりしかないこの場所、その上木の枝で影が出来、文字が読みにくいんだろう。
スマホの明かりに照らして読んでいる。
まぁ、人通りもないから大丈夫だろう。
「なんだこの依頼、フザけてんのか?」
「いいや、本気らしいし、本当らしい」
俺たちの今日の依頼主は、子供だった。
単なる子供じゃない、少しばかり有名な高校生グループの頭だ。
依頼書には年齢しか書かれていないが、俺には少し説明があった。
「何だコレ、書いたガキ始末すりゃ終わるんじゃねーの?」
「それじゃ報酬がなくなるだけだ」
「大体高校ごときで金出せるのかよ?」
「先方は出すと言っている」
依頼人の年齢の制限は、この組織にはない。
依頼と同時に金の交渉をする。
依頼に合った金額を受け取った時点で、交渉が成立する。
まぁ金を受け取るのは管理してる奴らで、依頼が達成すれば俺たちの手に入るし、達成しなければ依頼人に戻される。
今回はそこまで高くないけれど高校生のお小遣いからすると高めの値段だ……一瞬で終わるか。
遅刻した一時間、コイツを待ってまで一緒にする理由はないが、これも組織のルールだ。