威鶴の瞳
「不満なことを満足にさせれば、人の心は動く。忠実なしもべにするには、自分が上だとしつけた上で安心と信頼を持たせる」
しもべ……。
言い方はどうにしろ、内容は納得できるもの。
それを自分にしろということだろうか?
「いづるくん」
ガラリと雰囲気を変えて、ソラが手を伸ばしてくる。
その手が俺の手首を掴む。
「私、愛に飢えてるの」
そう言って、グイッと俺の手首を引くと、すんなりと俺の体はソファーから離れ、ソラに近付く。
バランスを取る為に机に片手をつく。
何が起きたのか理解するのに数秒かかった。
「ちょーだい、威鶴くんの愛」
ガタッ
それに反応したのはトーマだった。