威鶴の瞳
「お前……何がしたいんだ?」
「おもしろいコト」
「その手を離せ」
「なんで?あぁ……嫉妬かぁ。醜いなぁ」
読めない。
この女は何がしたいのか、全然わからない。
思考が読めない。
こんなタイプは初めてだ。
「威鶴くんて、我慢強いのね。ステキ。ここに来た時、みーんな10分で逃げて行ったよ?怒ったり泣いたり思考がさまよったり耳をふさいだり、人って面白いと思わない?」
危ない奴だ……。
そうか、だからレインは今までかけたことのなかった鍵をかけてまで俺たちを閉じ込めたのか、逃げられないように。
「怒りを抑えることほど難しいことはないと思うの。ねぇ、そう思わない?感情をコントロールできる人ってステキ。威鶴くんはステキ」
今度はいきなり俺を褒め出した。
本当に読めない、この女。
「崩壊って、楽しいよね。トーマくん」