威鶴の瞳


それから、トーマとソラの俺の取り合い口喧嘩のようなものが約二時間続いた。

その間俺はひそかにチョコに質問したり、二人の喧嘩に巻き込まれていたりした。

チョコは警戒心が強いだけで、トーマと同じタイプ……戦闘系、だけれどどちらかといえばソラのボディーガードで、戦うこと自体を楽しむわけじゃないらしい。








「あら、思っていたよりも懐いたみたいね」



ガチャリという音と共に、閉ざされていた空間が放たれ、レインが現れた。

その時俺は、トーマに腕を引かれ、ソラに首に腕をまわされている状態だった。

かなり痛くて苦しかった。



「……レイン、恨むぞ」

「何言ってんの、懐かれただけありがたいと思いなさい。何十人のメンバーが泣かされたと思ってんの?」

「俺はキレた」

「ふーん」



レインはニヤリと笑い、心底楽しそうな表情になった。

コイツも大概いい性格してると思う。

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