威鶴の瞳
ということはここまで電車で来たらしい。
なんて面倒なことをしてくれたんだ……。
他に荷物は……小さなショルダーバッグに、名刺入れと財布、後なぜかゴミ。
コンビニでパンでも買って食べたらしい。
……さて、問題が発生しました。
11時過ぎ、今から一時間半かかる家まで帰れるでしょうか?
終電なさそうだな……。
ここから駅まで徒歩20分だとして、11時半くらいについて、そこから帰って夜中の1時。
ムリだ。
私の脳裏に絶望が襲い――かけて、ふと思い出す。
実家に行ってみてはどうだろう……?
だってここには、柴崎依鶴の実家があるのだから……。
そう思うのに、体は動こうとしない。