威鶴の瞳


「依頼も完了しましたので、そろそろお引き取り願えますか?」



そう言ってくれたレインに、ようやく解放されるのかと安堵。



「ちぇー。それではまた後日、威鶴さん」

「またいつか、仕事でお会いしましょう」



あまり会いたくないが、それはしょうがないだろう。

どうせまた来る。



出口への見送りを男に託し、俺達はレインから報酬を頂いた。



「今回は単なる鍵の奪還だったからね。いつもより少ないけど」



そして真面目な顔になり、レインは言う



「で、威鶴、いつもの事だと思うけど」

「正社員はお断りします」

「……はぁ、あなたはいつも依頼もちゃんとこなしてくれるし、バイトだなんてもったいないのよ」



バイトから正規の社員への勧誘。

ちなみにトーマもバイトだが、俺ほどまで必死に勧誘はされていない。



理由は、言わずもがな俺の能力だろう。

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