威鶴の瞳


簡単に理由だけ話して逃げようと、そう思っていた。



「……アイツ、この事知ってるんですか?」

「アイツ……?」

「……兄貴。竹原透眞ですよ」



なぜか、トーマの名前が出て来た。



「……トーマ?」

「連絡すれば飛んで迎えに来ますよ?」



迎え……!?

え、待ってこの子何言ってるの?

まさか今から?
来たとして夜中の1・2時頃、そこからまたマンションに帰って早くて3時とか4時。



「そ、それなら始発で帰ります……!」



往復四時間弱なんてさすがに呼べない!!



「それに、なぜトーマさんなのかも……その……」



ぶつぶつ、小さくなっていく声に、竹原叶香は当たり前のように答えた。



「付き合ってるなら迎えに来るくらい当たり前でしょう?」
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