威鶴の瞳
『すき』
『付き合ってるなら迎えに来るくらい当たり前でしょう?』
そう言った竹原叶香に、思考を止められた。
つきあってる……?
誰と、誰が?
話の流れからすると、まるで私とトーマのように聞こえるのだけれど……。
何かの間違い。
どこからか、間違っている。
「わ、私は……お付き合いしている人はいません……けれど……」
「……は?」
「え、いや、お昼ご飯に付き合っていただいたり、帰宅に付き合っていたりはありますが、恋人という意味なら、居ませんが……」
――なぜ私は睨まれているのだろうか?
睨まれる意味が、分かりません。
そもそも竹原叶香はトーマのことを嫌っていたはずじゃ……?
「まだ片思いだっていうの?アイツが?もう手出しててもおかしくないはずなんだけど」
「手……!?」