威鶴の瞳
「違う人格の奴──いつもの奴から聞いた。でも今のお前は23歳であの家からはとっくの昔に出てるんだ」
「違う家があるってことですか?」
「そう。だから着いたっつったろ?って、寝ぼけてたか。ここがお前が今住んでる家。案内すっから覚えろよ?」
眉間にシワを寄せて、困った顔をするな。
……いや、不信がってる?
「なんで竹原さんが、家を……?まさか……」
おいそれはなんのまさかだ?
まさか付き合ってるなんて──てなこと言われたら、俺嘘ついていいか?
YES!っつっていいか?
……威鶴に殺されるからやめよう。
……いやまて、この『依鶴』さんの時って確か、どっちの人格の記憶にも残らないんだったか?
あれ、嘘付いても大丈夫かも──
「もしかして、竹原さんと私は……」
ゴクリ、ムダに緊張が走る。