威鶴の瞳
再び車に乗り、道を走る。
「あの……どこへ向かっているのですか……?」
「おれんち」
「……へ?」
「俺ん家」
そのままの体勢で固まっている『依鶴』さん。
気の持ちようのせいだろうか、今の『依鶴』さんを見ても欲じょ……気持ちが、テンションとかが、上がったりしない。
同じ『依鶴さん』なのに、混乱する。
「今日はとりあえず泊まれ。さっき車で寝てたし、ねみぃんだろ?」
「え、でも、私そんな……」
「今のお前には何もしないから、安心して寝ればいい。それとも人ん家だと緊張して寝れないタチか?」
「いえ……ええと、分かりません……。お泊りをしたことがないので」
「そうか」