威鶴の瞳
……でも実際、何もされていないことには気づいている。
俺が今着ている服は……トーマの部屋着だろうか?
別々の部屋で寝ていたし、どこも何も違和感はない。
軽く、ソファーを蹴った。
その振動に驚いたのか、トーマはぱっちりと目を見開き、数秒俺を見て固まった。
……そんなに見つめないでほしい。
「おはよう」
俺がそう言うと、トーマは口をぽかーんと開き、数秒、後。
「……はよ」
小さな声でそう返してきた。
のっそりと起きあがり、あくびをするトーマ。
何がどうなってる?
「なんで俺はここに居るんだ?」
そう聞けば、トーマはあくびの口のまま、俺を向く。