威鶴の瞳


……ふと、違和感に気付いた。

何かが違う?

いや、足りない。



『──依鶴?』



そう中に呼び掛けても返事が返って来ない。

眠ってる?

にしてもおかしい。

昨日丸一日寝ていた状態で、さらに眠るなんて。



なにより……『依鶴が眠る』事態がおかしい。



仮眠なら何度もあった。

数時間程度なら。

でもたっぷり寝る時は俺に代わるはず。



理由もなく、ただ眠るだけなのに、俺と代わらなかった事がおかしい。



「トーマ」

「あ?」

「嫌な予感がする」
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