威鶴の瞳
こんなに急に?
それに俺はまだココにいる。
大丈夫、依鶴もたしかに『中』にいる。
「嫌な予感?」
「依鶴は寝てる、だから起こせはしない。でもちゃんと『居る』んだ」
居る。
でも依鶴は本当の『依鶴』のコピー。
複製された人格。
『依鶴』に何かある時、それは必ず何かの変化の後。
「トーマ、依鶴と会う前、何があった?迎えに行ったんだろ」
「……あ」
トーマは思い出したように言う。
「迎えに行ってる間、叶香に世話になってた事話してねぇな」
……竹原叶香?
なんであんな所に竹原叶香と?
「偶然会ったらしい。叶香の事は話して来なかったが、多分男だろ」