威鶴の瞳

聴覚については、あまり知られていなかったような気がする。

知られる前に、みんな逃げていくようになっていたからかもしれない。



一人で寂しかった私は、姉に教えてもらった折り紙で、暇さえあれば鶴を折っていた。



子供の頃は指が小さかったから、一センチ正方の紙を作って千羽鶴を作ったりもしていた。

楽しかった。

夢中になるだけで、心が楽になったから。



小学校に上がっても同じ幼稚園だった子から噂は引き続き、あっという間に広まり、近所にも広まり、私自身から他の人の瞳を避けるようになった。

誰も関わろうとしてこない。

誰も話しかけてこないし、先生も逃げていたし、小学校で人と会話をした覚えはなかった。



ひたすら趣味を広めていた。

折り紙、お絵かき、あやとり、けん玉、竹トンボ作り……一人遊びだったらたくさん知ってる。

家では姉のお下がりのおもちゃで遊んだり、姉と会話したり。



姉は中学生だったから友達と外で遊んだり部活をしたりで家に帰ってくるのは遅かったけど、ご飯を作ってくれたり、会話の相手をしてくれたり、私の周りの中では一番優しかった。
< 363 / 500 >

この作品をシェア

pagetop