威鶴の瞳


干してあったワンピースを借り、近くにあったバッグにケータイをツッコみ、財布があることを確認してから外に出た。

鍵を忘れて。



とは言ってもこの辺のことはよくわからない。

外に出てすぐにコンビニを見つけたから、とりあえずパンとペットボトルの飲み物を買って、食べながら考えることにした。



少しすると、遠くから電車の音が聞こえて来た。

大体700mくらい先から聞こえる。

もともと異常に耳がいいから、こういう時に便利だ。



10分ほど音のした方へ歩くと、線路があった。

線路をたどって駅へ行こう。

なんだか遠足のような、家出のような気分で、少しワクワクしながら駅に着いた。



お金お金……そう思って財布を開くと、カードのしまえるところに見覚えのある緑色のカード。

取り出すと想定通り、ペンギンが微笑んでいた。



こ、これはスイカ!

いつの間にこんなものを。



少し緊張しながら、タッチ一秒。



ピッ!



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