威鶴の瞳


……話を聞いている限り、きっと直接会えたんじゃないかと思う。

私の姉と。



それが二年ほど前、らしい。



それと、ちづちゃんは無事に結婚して、今子供は4歳らしい。

保育園通いの男の子。

ちづちゃんは幸せそうだった。




「そうだ、依鶴ケータイとか、スマホ持ってないの?」

「……すまほ?」

「……脳内五年前だっけ。ケータイはわかるでしょ?あれの、ボタンが無くなって画面が広くなった感じの……」



……朝を思い出す。

ちょっと触っただけで何かが起動した、あの未知の進化を遂げたケータイ的な奴のことだ。



バッグを取り出し、平べったい長方形のタッチパネル的なアレ『すまほ』を探し出し、ちづちゃんに差し出した。

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