威鶴の瞳


「行くぞ」



そう言って俺は先にスタスタと歩いて行く。

そして後ろからダルそうにトーマも付いて来る。



さぁ、ミッションスタートだ。





「さっそく右三人、左五人、前に十人に後ろに二人ってとこか」

「相変わらず正確な奴だな」

「体質だ」



今言ったのは俺たちの半径50m以内にいる人数。



この辺は夜、治安が悪くなる。

理由は、今俺たちを囲って様子見している奴らだろう。



この辺りでは何件も暴力沙汰が起きている。

族がここ一帯を支配しているからだ。

そんな中に俺らのような奴が入り込んできたら警戒もするのかもしれない。



一般人は誰一人この辺りでは出歩かない。

まぁ今日用があるのは、その族なんだけれど。



「トーマ、目を見せろ」

「あぁ」



サングラスを取るトーマに、眼帯を取る俺。



トーマの瞳を通して、トーマの未来を見る。



すなわち、一緒にいる俺の未来も覗けるということ。


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