威鶴の瞳
次に覚めた時、私はなぜかとてつもない眠気に襲われていた。
ん、……なにこの眠気……。
ふと横を見ると、見なれた顔に、なんとなく久しぶり。
「……たけはら、さん……?」
このパターンは二度目だ。
気付けば私は座っていて、視界の端に大きな窓……車の中、らしかった。
『どれも全部依鶴だから、俺はどの人格 だって好きだ』
そう言われて嬉しかった。
──はずなのに。
私は逆に気付いてしまった。
竹原さん、 『どれも全部依鶴だからどの依鶴も好き』ということは、私は『ついで』という事でしょう?
そのことに少し、距離を感じて……『あの子』が羨ましくなってしまった。