威鶴の瞳
……俺の知らない所で大きな変化があれば、今のこっちの依鶴の変化や、主人格の依鶴の変化にも、納得するんじゃないか?
そう、例えば──実は一度家に帰っていたとか?
家族関係か?
それが大きい。
「トーマ、昨日の『依鶴』の行動を調べる」
「は?……まさかBOMBに依頼する気か?」
「それくらいしか宛てがない」
「今度は誰に頼むんだ?依鶴さん寝てんだろ?つーかさっきの質問答えろよ」
気付けばトーマがプチ切れ状態だった。
マズいマズい。
思考が先走っていた。
「『嫌な予感』の事か?簡単な事だ。姉のショックで3つに分裂したうち、『依鶴』が何かの拍子に満足した。それが主人格かコピーのかはわからないが、分裂した時とは逆に何かに満足したから依鶴が必要なくなったと……」
……何だ?
何かひっかかる。
何かに気付けてない気がする。