威鶴の瞳
お客があちこちに散り、こちらに来るのを待つ。
背筋を伸ばして待つのも、簡単じゃない。
──そこに。
「すみません」
「はい、いらっしゃいませ」
本日最初のお客が来た。
私は愛想の良い笑みで客を迎える。
「友達から噂を聞いて、お買い物ついでに占っていただこうかと思って来てみました」
「そうなんですか?それは嬉しいですね。どうぞ、お座りになってください」
お客が座り、無条件で私の瞳を見る。
よかった、こういうタイプは長時間目を合わせてくれているから未来を見やすい。
「それでは、手始めに過去から見ていきます」
スッと頭の中を流れる映像。
浅い……もっと前、2・3・4年前……あった。
「幼なじみの方と、結婚なさっていたんですね」
「え……あ、はい」
「でも……」
「……わかって、しまっているんですか?」