威鶴の瞳
「で、サイフだっけ?」
サイフを開き、真っ先に視界に入って来たのは、札入れ。
そこに見慣れない小さな紙が入っていた。
……もしかして『依鶴』の目的はこれだったのか?
紙を取り出し、裏返してみると──目に入って来た見覚えのある『名前』に凍りついた。
「……威鶴?どうした?」
「……的中、した」
トーマにもその紙を渡す。
それを見たトーマも、眉をひそめた。
「BOMBに依頼しなくてもよくなったな」
090で始まるケータイ番号、その下に英数字のアドレス。
さらにその下の──柴崎千鶴という名前。