威鶴の瞳
5.最後の仕事
idu_b.tidu_s-love@×××.ne.jp
これが、俺のアドレス。
idu_valuablesistar-love@×××.ne.jp
そしてこれが、姉のアドレス。
同じiduで始まり、sister-loveで終わる。
『tidu_s-love』
ちづる 姉を愛してる。
『idu_ valuablesistar-love』
いづる 大切な妹を愛してる。
もし別の誰かからこのアドレスをもらったのだとしても、姉があのまま『依鶴』の事を思い出していなかったら、このアドレスは有り得ない。
このアドレスは、妹の存在を認めている。
ポロポロ、頬を伝う雫に、気付いた時にはもう、遅くて。
「威鶴?」
「依鶴の気持ちが、よくわかった」
精神的な満足。
このメモだけでもこれほど嬉しいのに、これでもし姉に会っていたとしたら……。