威鶴の瞳


息を切らし、その鋭い瞳を俺に向け──そしてなぜか、涙を流し始めた。



「……いづる、くん……?」



ポロポロと涙を流す姿は、さっきまでの俺と同じだ。



「……威鶴くんなら、わかるでしょう?」

「……」

「私のしてほしいこと、わかるわよね……?」



してほしいこと。

ソラが望んでいること……。



思い出すのは、やっぱりあの初めて会った日の記憶。



『私、愛に飢えてるの』

『ちょーだい、威鶴くんの愛』



そして殴った俺に。



『シビれた。私威鶴くんの愛のムチに心がシビれちゃった』



そう言って俺に懐いた危ない女・ソラ。
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