威鶴の瞳
私は一息つき、困った顔を作り、言う。
「子供が出来ない……そうお悩みですか」
「はい、そうです」
大体察しがついた。
彼女は眉をひそめて俯く。
「もしかして、この事を占って欲しいのかしら?」
「そうです、別に不妊というわけではないのですが、子供が出来にくい体質みたいで……」
そう言って彼女は俯いたまま、顔を上げる気配はない。
正直、瞳を見続けてほしい所だけど、ずっと目をそらさずにいる人もなかなかいないのもわかってる。
だからこそ。
「気を落とさないでください」
一言そう言えば、再び私を見つめる瞳。
私はその術を身に付けた。
名前を呼ばれるか、望む言葉を言えば、大概の人は反応して私の顔を見る。
そう、そのまま。
「それでは、未来を占います」
形だけの水晶に、それを囲うように両手をかざす。