威鶴の瞳
『叱る』事は、大抵上下関係の上で成り立つ。
または信頼関係。
俺はたまにトーマを叱る事もしていた。
逆にトーマからも指摘される事も多かった。
それを俺は、確かに『嬉しい』と感じていたんだ。
そして、叱った後には、必ずしなければいけない事がある。
「今日はどうしてこんな事をしたんだ?」
理由を聞くことは、一番の重要ポイントだろう。
「チョコが生意気だったのよ。私の心配をするなんて100年早いわ」
「何を心配してくれたのにそうなったんだ?」
「……勝手に親に婚約させられたのよ。それで苛立ってたのもあるけど、同情の目で見られるのもとても嫌だったわ」
……本当にどこかの嬢さんだったらしい。
つまり政略結婚の危機なわけか。
「だからってそれが人を傷付ける理由にはならない。周りまで巻き込むな」
「それは!……反省してるわよ」
「じゃ、謝れ」