威鶴の瞳
4.傷
ふわふわする。
ふわふわ、ふわふわ、雲の上のように。
クラクラ、ふわふわ。
スッと視界が暗くなり、まぶたを開く。
クラクラ、ふわふわ、まだ夢の世界に浸っていたい気持ちだけれど。
「威鶴!!」
その声は、予想していたものよりも高くて、でも、とても聞き覚えのある声で……。
「よかった、目が覚めて」
「……レイン、さん……?」
そう、これはレインの声。
威鶴の中でよく聞いていた声。
「……紫崎依鶴さんなの?」