威鶴の瞳


最後の記憶は、えぇと……とても幸せだった気がする。

そう、トーマさんが迎えに来てくれて、車の中で……。



「あのね、柴崎依鶴さん……とても申し上げにくいのだけれど、あなたは、何も知らない、のよね?」

「……はい?」

「現状を説明するわ」



そう言ってレインは言った。



「とりあえずあなたは、三日間寝ていたわ」

「……はい?」



私は三日間寝ていた。

レインがそう言うとなれば、中身の話じゃなく、身体自体の事だろう。



……なぜ?



「結論から言えば、トーマもここの病院に入っているの」

「……病院?え、病気か何か?それとも怪我とか?」

「ウチの新人のソラとチョコってのがいるんだけど」

「あ、はい、覚えています」

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