威鶴の瞳
あの女王キャラは凄まじかった。
「トーマがチョコに刺されたわ」
──全身の血の気が引いていくのがわかった。
カタカタ、指先が震え出す。
「狙われた威鶴をかばったのよ。ったく、アイツはムチャするんだから」
え、なんで、どうして、そんな事になってるの……?
何が起きたの?
何が起きてるの?
眠ってる威鶴と、関係があるの……?
「柴崎依鶴さん、落ち着いて、トーマはあの悪運の強さで急所は避けていたし、ケンカ慣れしていたからかあなたより先に目覚めて、精神的負傷もしてない」
「……生き、てる?」
「生きてます。いつもより生意気。傷自体は浅くないから完治には時間がかかるけどね。問題はあなたの方」