威鶴の瞳


彼女の瞳を見つめれば、まぶたに流れ込む映像。

未来は、過去よりもぼんやりとして、はっきりとした時間はわからない。



それでも、過去の経験からわかる、大まかな時間の距離。



それが見えた時、私はポツリとつぶやいた。



「半年後」

「……半年後?」

「半年後の結果で、陽性と出るはずです」



そう言って、彼女に笑いかける。

直後、パァッと明るくなる彼女。



「本当ですか!?」

「本当かどうかは、半年後に自分の目で確かめてください」

「はい!」



満足いく結果が得られたようだ。



占い料の1000円をいただき、軽やかな足取りで近くの店に入って行った客。

幸せそう……。




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