威鶴の瞳


レインは……ため息をひとつ吐いて、引き止める事なく言った。



「了解」



あっさりすぎて、驚いた。

だってあの日、私の事がバレた日は、あんなに反対していたのに……。



「トーマにから聞いたのよ。威鶴とトーマ、私が呼び出す直前までずっと一緒にいたらしいわね。本気で威鶴がやめようとしてるから、威鶴から話されたら了承しろってトーマに言われたのよ」



トーマ、ずっと威鶴といたんだ……。

レインが知らないということは、依頼以外で会っていたということだろう。

……とすると、また『依鶴』が出て来ていたのかもしれない。



「まだまだ話さなきゃいけないことが山ほどあるわ。トーマに頼まれて来たのよ。アイツ今動けないから」

「傷……そんなにひどいんですか?」

「いや、目を離すとアイツこの部屋来るから、手足縛って……あー、安静にね、安静にさせてるのよ」



手足縛られてるのか……。



「さて、依鶴さん。この数日で起きた事と、それ以前の事を話せる人が三人います」

「……あ、はい」

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