威鶴の瞳

2.メッセージ



──ぷつ

慣れた感覚の後、私は口にものを含んでいた。

……味、薄い。



視線を落とすと、半分なくなった病院食。

……また『依鶴』と代わっていたのかと気付いた時には、それまでと同じように食事を再開していた。



「依鶴さん、お飲み物買ってきました」



にっこり笑って入ってきた竹原遥香のご登場に、驚いて手が止まった。

なんだか、とても久しぶりな顔だ……。



「え、えぇと……」

「お茶で大丈夫でしたか?」

「えーと、あ、はい。お金……」

「結構ですよ」



竹原遥香といえば、トーマの姉。

数ヶ月前に占いをした覚えがある。



でも接点はそれくらいで、会うのはたぶん二回目なはず。



トーマのついで、だろうか?

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