威鶴の瞳
……え、は……え?
「……お、おま、どけ!」
焦るトーマ。
「もう少し我慢なさい」
なぜ病室を教えたのだろう?
何がしたいのかわからないレイン。
そして、この状況を見て『無』になろうと──
「い、依鶴??」
──なろうとしても、出来なかった私。
ポロリポロリ、なぜだか涙が溢れ出す。
自分でも何で泣いているのか、何でこんなに苦しいのかがわからない。
ただわかるのは、トーマとレインが……そういう関係なのかと思ったら、ただひたすらにそれが嫌で。
嫌で、嫌で、苦しくて、ショックで。
ポロポロ、溢れ出す涙は、一体私の何を表しているんだろう?
止まらない。