威鶴の瞳
「だからあれはお前が来る直前にレインが──」
言葉を遮るように、その口元に人差し指を当てた。
目を見開いて驚くトーマに少し笑ってから……私は自分から、その頭を抱え込むように抱き締めた。
ビクッと肩を揺らすトーマ。
「もう、我慢はやめる」
「……」
「私は消えるその瞬間まで……私を楽しむことに、しました」
かかえているトーマの頭を離し、手を頬に移す。
「トーマさん、ごめんなさい」
「いづ……」
「ごめんなさい。
私は、あなたに恋をしてしまいました」