威鶴の瞳
胸が熱くて、心臓がドクドク、壊れそう。
これは……期待、だろうか?
でも、惚れてるってそういう意味以外では使わないだろうし、でも、万が一別の意味かもしれない……。
でも別の意味って何?
期待しちゃダメという自己防衛の思いと、それでも期待してしまう心がぶつかり合う。
でもやっぱり、別の意味なんてない。
「そうだ、コクハクだ」
「……私の告白の返事に、コクハク?」
「あぁ。つまり」
トーマが、私の腰に当てたままでいた手を引き寄せる。
「つまりお前と同じ気持ちっつーことだろ?」
──同じ
私とトーマが、同じ気持ち。
それはお互いが好きというわけで、つまりは両想い、というわけで……。